日本の障害者の方達への医療制度 我が子を通じて知った家族の痛みと医者や政治家たちの血を滲ませる努力
- アイラブジーザスチャーチ
- 2024年6月24日
- 読了時間: 9分








こちらは2020年の娘の愛波の9年目の召天記念日の書いた記事です
長文ですが
お読みいただければ幸いです。
北海道で起きた悲痛な事件と
私の娘の突然死で思わされたこと。
人が立ち上がり、ものごとを変える体験とは?
また、変えなければならないタイミングにでくわしたとしたら?
コロナで変わる日本、世界、これからのあり方。
いま、世界はコロナの前と後でライフスタイルや
社会の構造自体も変えていかなければならない
そんな話題があちこちでやりとりされています。
5月12日に突然死した愛する次女愛波(えりな)の
思い出と当時のできごとを今年もシェアしましたが
翌日の
5月13日は長男の口唇口蓋裂の専門の
矯正歯科の先生に診てもらう大事な通院の日でした。
また、長男の担当医の先生が副院長から
お父さんと世代交代で院長に就任されたので
そのお祝いもかねて13日の通院は大事な日で
息子の診察のあとは院長先生に
生まれてから14年
息子を三回の手術と
絶え間ない治療をしてくださったことへの
感謝をお伝えしたくて
私たち家族を支えてくれる友人で
院長のお友達である方も
息子の通院に立ち会ってくれて
院長と二時間ほどおはなしをする時を持ちました。
人生には、忘れてはならない大事なことが
いくつも発生することがあると思います。
それを、ただ、思い出や、過去の出来事にしてはならないと
そう思わされることがそれぞれにあると思いますが
私にとっては間違いなく、東日本大震災の経験と
それを超えてしまうほどの娘の突然死です。
毎年毎年、同じことをフェイスブックに書いていますが
娘のことをあの当時と同じ温度で
自分の記憶から温めていくために
みなさんとあえて、ここで共有しています。
さて、院長先生にこれまでの
息子への治療の感謝を伝えると同時に
次女の9回目の命日だとご報告しました。
普通の家庭に
一人の口唇口蓋裂のお子さんが与えられても
お母さん、また、お父さんは悩むというのに
二人も口蓋裂の子供が与えられた家族に対して
専門医は特別な思いで感心を持ってくれて
我が家を気にしていたそうです。
そして、やはり
プライバシーも配慮しなければならない
センシティブな我が家の次女の突然死に関しては
院長先生も聞きたくても、聞きにくい
当時のできごとだったと話してくれました。
実は、私も娘の突然死から9年目にして
初めて知らされた涙が溢れるできごとがあります。
院長からその話を聞かされて
一昨日と昨日は
いま、直面している
また直面してきた全ての難題や課題に
もう一度立ち上がって乗り越えていくぞと
心に湧き上がる力と覚悟が
与えられるほど、涙が溢れてきました。
その想いが溢れるのでいま、フェイスブックに
書き留めています。
いま、コロナのことで政治が動こうとしていますが
政治とは国民のために
制度や法律を作っていくわけですが
私には
また私たち家族には
税金や政治に感謝しなくてはならない
その理由がありました。
それは、口唇口蓋裂の子供のためにも
更生医療制度があり
ほぼ無料の形で医療を受けられることです。
日本は国保、社保、生活保護の医療保護の制度のおかげで
安価で医療も受けやすいですが
更生医療は
そこに更に治療すれば治る見込みのある障害に対しての
支援の体制が保障されています。
そんな素晴らしい制度にお世話になっていますが
口唇口蓋裂の子供達への適用は
決して古い歴史ではありませんでした。
一昨日聞かされた衝撃の事件をお分かちします。
それは北海道で1981年
いまから39年前に起きた
涙無くしては聞けない事件です。
それは、立て続けに口唇口蓋裂の子供が
与えられたご家族でお母さんが二人目のお子さんを
殺してしまうという痛ましいできごとです。
それがきっかけとなり、あるお医者さんが立ち上がり
厚生省とかけあい
二年の月日を経て
1983年に更生医療制度の対象に
口唇口蓋裂の子供達を大変な政治の戦いの中で
勝ち取られたという歴史的なドラマを聞かされました。
そのおかげで、我が家はほぼ負担なく
口唇口蓋裂の治療を受けられています。
もともと、私個人としては
更生医療のおかげで
息子に素晴らしい治療を受けさせていただいているので
本当に制度や税金に感謝がつきないのですが
その歴史を聞かされて
改めて
感謝の意識が更に次の段階に引き上げられました。
いまの口唇口蓋裂の治療無償化と
手厚いほどの医療体制を前から不思議に思っていましたが
妻とも驚くほどに、口唇口蓋裂のお子さんの診察には、例外がないほど
夫婦揃って通院されているのを見てきて
我々だけではなく
みんな凄いねとよく話していました。
しかし、北海道の事件があって、いかに
口唇口蓋裂で生まれたお母さんたちが
どれほど悩まれているかということが
医師たちにより調査するきっかけになり
その家族を支えていくために医療体制が
整備されていったのでした。
私の息子の通う昭和大学病院は
その専門で
昭和歯科大学がまた口唇口蓋裂の治療の権威であり
また、長男の担当医の先生親子が
日本の矯正歯科医療や口唇口蓋裂の矯正技術のリーダーであり
だからわざわざ
いわきから東京にまで通うことにしたわけです。
また、私は息子の通院を支える妻のために
家も病院の近くに引っ越して
子供へお母さんのストレスがいかないように
最前を尽くしてきましたが
院長先生も
わざわざ港区から品川の病院の目の前まで
引っ越しをしてきた我が家の姿勢に
医療を施す側も人の人生に
影響を与えていることを深く自覚するようになりましたと
初めてそんな話もしていただきました。
さて、前後しますが
二人目の口蓋裂のおこさんを殺めてしまった
お母さんの話を聞いて
私はこれまで妻にも
そのほかの誰にも話したことのない
夫として父としての心の内も告白しました。
わずか4カ月の短い人生の次女の命
わたしは、妻や私が苦しまないように
神様が命をここまででいいよと
いわんばかりに天に引き上げられたと
自覚していましたが
わたしは二人も口蓋裂の子供が与えられて
果たして妻は子育てで潰れることはないだろうかと
心の中で思っていたのが事実でした。
しかし、夫として父としての最善を尽くしていくのが
当たり前ですから
二人目の口蓋裂の娘を与えられて
人生の覚悟をあらたにしたのでした。
さて、我々よりも更に重度の障害を抱えているかたが
おられるので我が家がより大変だとは
思わないようにしてきましたし
また、子供がほしくてもなかなかできない
ご夫婦がいらっしゃる中で
我が家に子供がどんな状況でも与えられたことは
宝ですが
口蓋裂の子供達を育てているほかの親御さんと
共感するためにも
少し書きます。
口蓋裂の子育てでの1番最初の違いは
口が割れているために
お母さんのおっぱいを赤ちゃんが吸うことができないので
お母さんは常に機械で搾乳して
常に赤ちゃんにいつでも飲めるようにストックしながら
また、口蓋裂専用のドイツ製の哺乳瓶で
ミルクを飲ませました。
生まれてから一年は
お母さんは横になったまま授乳できないので
二時間ごとに起きて、体を起こして授乳し
また、授乳のあとは、搾乳して
次のミルクのストックを作りながら
赤ちゃんが困らないようにします。
粉ミルクもありますが
当然、母乳の方がいいので
なるべく母乳で育児を試みます。
特に、息子は口蓋裂の中でもフルコースの
両側の唇顎口蓋裂といい
鼻の下の唇、顎、喉の手前の口蓋までついていないので
それを三回の手術でつなげて
足りない顎の骨は腰骨から骨移植しました。
さて、一人目の子供の子育てで夫婦共に寝不足
またその手間のかかることでひと段落して
長女で楽に子育てさせてもらい
次女が生まれるとその経験がありながらも
また寝不足の日々が始まりました。
そこで、東日本大震災発生です。
それは大変なことでしたが
このおかげで世界中から集まるボランティアのみなさんの支えで
我が家の次女は皆さんから抱っこされ
哺乳瓶で授乳のお手伝いをしてもらい
妻の負担が支えられました。
誕生からスタートして
18年も続く口蓋裂の治療が
更に次女の誕生で更に4年長くなり
私はどのようにして妻を支える体制を取れるか
真剣に考えていました。
それから、5月12日の突然死で状況が一変しました。
さて、私たちは聖書の価値観を大事にしているので
長男の出産の後にも
取り上げてくださった医師に
与えられた子供は障害があってもなくても
授かったものだから
宝物ですと話したことがあり
医師が患者側に励まされたのは初めてだと
言われましたが
矯正歯科の担当医も初めて我が家と会った時に
悩んでいる様子がなくて
驚いたと今回話をしてくれました。
さて、長々ととりとめもないことを綴りましたが
ようは、私たち夫婦も聖書の価値観がなければ
北海道の事件のお母さんの様に
当事者になりえたことを感じたのです。
育児ノイローゼは
誰でもなりえることですし
まさかの育児も介護も
それに耐えられなくて
家族を殺めてしまうことが起きるわけですから
とても人ごととは言えないと思った次第です。
交通事故でお父さんを亡くされた交通遺児が
大人になり政治家になられて
道路交通法が細かく整備された実話も聞いていますが
制度や法律が作られたり、改正、再整備される背景には
さまざまな人知れぬドラマや事件があります。
これからは、口蓋裂を抱えたお子さんのご家族の
励ましのために
更に私も積極的に関わっていこうと
思い新たにされました。
ものごとが動くときは
人の心が動かされる時です。
昨日は、この話を息子を囲んで家族でシェアしました。
まだ、人生の明確な目標が定まっていない息子に
ずっと言ってきた言葉があります。
お前は、皆さんの税金と更生医療でここまでささえられてきた。
世界には、医療体制、医療技術、医療従事者、医療保障がなくて
20歳まで口が割れたまま生活して
周りからいじめられたり
居場所のない子供達がたくさんいる
だからいつか将来
世界で口唇口蓋裂の治療の指導をするために
海外に行く院長のカバン持ちで
苦しむ子供達のお手伝いをしてきなさいと
伝えてきました。
息子が医療従事者にならなくても
同じ立場で苦しむ人たちの支援をする人になってほしくて
今回、院長に息子が高校か大学になったとき
一度だけ
世界の治療の現場に同行させてくださいと
お願いをしてきました。
今回、口唇口蓋裂の医療無償化の背景に
同じ口蓋裂のお子さんの殺人事件があったことを
伝えると
これまで絶対に医者にはならないし
興味がないと言っていた息子が
初めて反論しないで聞いてくれました。
今、コロナで医療現場は大変です。
医療体制やシステムや保障のしくみや
医療経済の効率化が改善されていきますように。
私もこれを聞いて
日中草の根で向き合っている
医療連携の難題に立ち向かう力をもらえました。
北海道のご家族の痛みは我が家の痛みです。
Comentarios